界一普及したチェア、THONET NO.14

MUJI manufactured by THONET

MUJI×THONET トーネット NO.14 無印良品よりリプロダクト 看板

ドイツの家具メーカー、トーネット社が1859年につくった曲げ木の椅子、「NO.14」。
無印良品は、この椅子をリプロダクトしました。 トーネット社の「NO.14」は、その時代における革新的な技術と斬新な素材によってつくられ、家具製造の歴史に転機をもたらした画期的な美しい製品であり、また、“多くの人に良質の椅子を”という理念のもと、安価で製造・販売された、大衆のための家具でした。 しかし現在、それは図らずも嗜好品となり、複雑な流通経路をたどることにより価格が肥大しています。 このことはプロダクトとデザインが高い評価を受け続けている証拠ではありますが、当初の理念からは皮肉にも大きく外れていると言わざるを得ません。
無印良品はドイツのトーネット社の熟練した職人技と工場を活用し、このプロジェクトに共感する世界の優れたデザイナーと無印良品のコンセプトに基づいた合理的な設計をおこない、生産時の無駄を省き、流通を簡略化しました。
結果として誰もが暮らしの中で当たり前に使える、家具の本来あるべき姿を蘇生させたのです。
http://www.muji.net/

1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 イメージ

トーネットの「NO.14」は、構造、技術、造詣のすべてにおいて高い完成度をもち、世界一普及したチェアとして有名です。
生みの親であるミヒャエル・トーネットはドイツ中部で家具職人として腕を磨いていましたが、多くの手数と複雑な工程を強いるクラフト的で非効率的な生産方法をとり、一部の豊かな人のみに向けられる、装飾的で高価な家具のあり方に疑問を持ちました。
彼はできるだけ多くの人が使える家具の模索をはじめ、家具の量産化には無垢材を曲げる技術の開発が鍵だという考えに至ります。 そして曲げ木加工の研究を進め、その成功によって生まれたのが、「NO.14」に代表される一連のトーネット社の製品群です。

1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 製作イメージ

木を曲げる。その技術は、家具づくりに大きな革新をもたらしました。 椅子を軽く、美しく、安く、大量につくれるものに変えたのです。
それまで木で曲面をつくるには、無垢材の塊から削り出すか、積層合板を利用するしか方法がなく、非常にコストや手間がかかりました。 しかし曲げ木は無垢材の繊維によって丈夫なうえに、軽く、素材を無駄にせず効率的に使うことができます。 そして、型に沿わせて木を自在に曲げる方法によって、造形性も増しました。
中でも「NO.14」はそのフォルムの明快さと際立った品質により世界中に普及し、瞬く間に世界中のカフェや家庭に普及し、誕生から約150年経つ今もなお、「スタンダード・チェア」であり続けています。

1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 製作イメージ

蒸して柔らかくした木材に、鉄製の帯を当てて両端を固定し、2人でねじりながら型にはめ込む。 各々が担当のパーツをつくる分業制や流れ作業は、画期的な方法でした。
「NO.14」を形成するのは、座面やパイプなど、たった6つのパーツとビスのみ。 ばらした状態での輸送時の梱包容積は完成品の8分の1。 これも低価格を維持する要素です。

1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 パーツ 1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 ばらした状態での梱包

1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 使用イメージ 1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 使用イメージ 1859年当時のトーネット社の椅子、「NO.14」 使用イメージ

デザイナー Michael Thonet (ミヒャエル・トーネット)

Michael Thonet (1796-1871)

ドイツ・ボッパルトで大工、家具製作の技術を学ぶ。
1819年、家具の工房を開く。
1842年、積層材を曲げる技術に対して、
王室から5年間の特許が与えられる。
1843年、リヒテンシュタインの宮殿の椅子を制作。
1849年、ウィーンに工房を開設し、
現在までのトーネット社発展の礎を築く。
1850年、ウィーンのカフェ、「ダウム」のために椅子を制作。
1851年、ロンドンで開かれた世界博において、
家具のデザインに対して銅メダルが贈られる。
1856年、椅子、テーブルの脚に関する曲げ木の技術で特許を得る。
1858年、「NO.14」の製造を開始。

ミヒャエル・トーネットは発明者、企業家の両方において、
家具を量産するという近代的システムの基盤をつくった先駆者です。

NEW STANDARD MUJI NO.14

デザインが先行するのではなく、元来木材が持つ“しなり”の特性をトーネット社の技術で巧みに引き出し活かすことで、必然的に生み出された美しい曲線。
それを大切に受け継ぎながら、より簡素で、より身近な家具として、
新たなスタンダードチェアが誕生しました。
現代の技術や製造工程に合わせ、改めて構造を見直すことで、
よりすっきりと簡素な姿の椅子ができました。
背もたれは背中に自然にあたり、バーよりも広い面積で身体をしっかりと受け止めてくれるパネル状に。 メンテナンスの手間や頻度を少なくするため、天然の藤でメッシュ状にしていた座面を、板座と樹脂製の編座にしました。
工程、機能、永く使い続けるなかでの時間の経過など、目に見えない部分にも気を配りながらできあがった、MUJIの「NO.14」チェアです。

MUJI NO.14 フォトギャラリー

ヒトリゴト

ヴィトラ・デザイン・ミュージアム所蔵品の中から100点が紹介されている一冊、『いす・100のかたち』をはじめ、中世の椅子を紹介する本には必ず掲載されている、椅子の歴史、インテリアの歴史を知る上では外せない名作チェアです。 文字通り、ミヒャエル・トーネットが14番目に商品化した曲げ木椅子ですが、当時トーネットは63歳。75歳で亡くなったことを考えると、晩年全ての情熱を注いで完成した一脚と言えます。
当時の、背面の弧を描くダブルカーブが印象的ですが、無印から再生産されたモデルは、より実用的でスタンダードなかたちにリデザインされ、実に無印らしいフォルムに生まれ変わりました。